第4回弁論報告
新型コロナウイルス感染拡大にともない延期になっていた第4回弁論が10月1日(木)10時から東京地裁510法廷で開かれました。当日も傍聴席は感染対策で席数の制限が行われていました。そのためせっかく駆け付けていただいたのに傍聴できない方が出てしまいました。お忙しい中駆け付けていただいたことに感謝いたします。そして、まことに申し訳ありませんでした。
現在までの裁判の進行状態を整理すると、原告の主張に対して被告である都側の反論がすべて出そろわない状態で経過していました。その都度出された都側の反論に対して、裁判長より、主張として言うべきことがすべて言われていないから補充をしてほしいという提起がなされてきたのです。今回の法廷でいかなる反論を整理してくるのか注目していたのですが、今回の整理についても条例の根拠が示されているかなどの疑問が裁判所から提起され、都側はその点についての整理を改めて行うことになりました。
他方、裁判所は、原告が主張しているハラスメントについて、裁判所なりに整理してみたが、この整理で良いか、原告側に点検してその点検内容を主張する様に求めました。
こうした整理を双方が進めて、次回の裁判を、12月10日午前11時から同じ東京地裁の510号法廷で行うこととなりました。
他方、今回の裁判において、都側は部分的に和解を求めてきました。
都側が出してきた和解案は、まず「新型コロナウイルス蔓延により」、「いずれの病院もその対応に追われる日々を送っている」、「特に墨東病院は、第一種及び第二種感染症指定医療機関として」、「最前線で対応を行って」いるので、「割増賃金請求に関しては和解による早期解決を目指したい」、和解条件については、「早期解決をするために超過勤務手当等に係る原告の主張の一部については、特に争うことなく認めることとしました」というものです。
この都側の和解案にはいくつかの問題点があります。
1. 謝罪がない
都側の主張をやや乱暴にまとめると、新型コロナ対策で忙しいんだから裁判をやってる暇なんかないのはわかるでしょ、お金払うからこれで終わりにしてよ、というものです。そこには違法なことについての謝罪の気持ちがあるとは読み取ることはできません。
2. 再発防止策等がなにもない
前回まで都側は、超過勤務は事前に超過勤務命令をするのだから命令がない以上そこに超過勤務はなかった、パワハラもなかったと主張していました。今回の都側の和解案は、この大きな問題の事実認定に蓋をして、和解してしまおうというものです。当然、事実関係は何ら明らかにされませんので、再発防止策などが策定されることはなく、職員にただ働きを強制するようなパワハラ的組織体質がそのまま隠蔽され継続されることになってしまいます。
3. 和解案の評価ができない
今回都側は、墨東病院の薬剤師の1直2勤務、16時間夜勤について、変形労働時間制を導入していると主張してきました。ところが裁判長からは、変形労働時間制を入れているなら、それが明記されている条例を出してくださいと提起されました。条例に基づく勤務時間からはみ出した部分が超過勤務となりますが、変形労働時間制で管理するという条例がなければ、どこからが超過勤務時間か正確にわかりません。条例の有無が判然としなければ、都側の主張が正当か、和解案が適切な提案か、判然としません。
裁判を続けると言うことは、大変に負担が大きいものです。原告は「これ以上私と同じような、不条理な思いや経験をする職員を増やしたくない。」と裁判を決心し、この裁判をきっかけに「黙って耐えている職員は「これはおかしい」と諦めず声を上げ、待遇改善につな
げてほしい。」と裁判を闘ってきました。
原告Aさんが、ご家族や弁護団と十分に話し合い、最良な結論をもって次回の期日に臨めるように支える会としても支援を継続していきたいと考えています。
支える会事務局 大利 英昭